古くからあるAI「ボルツマンマシン」を、今よく使われる方法と組ませたら、おかしなデータをもっと上手に見つけられました。
J. Niimi (2026) Revisiting Energy-based Tabular Anomaly Detection: Energy and Reconstruction are Complementary
たくさんの表データの中から、 ひとつだけ変なもの を見つけたい。これを 異常検知 といいます。不正な取引や、ネットワークへの攻撃を見つけるのに使われます。
ふつうのデータだけを見て育ったAIは、ふつうのデータなら上手に描き直せます。見たことのない変なデータは、うまく描けません。その ズレの大きさ で判断します。
これが今の主流で、オートエンコーダ(AE)と呼ばれます。
こちらのAIは、データの世界を でこぼこの地形 として覚えます。よくあるデータは 谷の底 、めずらしいデータは 山の上 。高いところにいるほど、あやしい。
この高さを「エネルギー」と呼びます。使ったのは深層ボルツマンマシン(DBM)という、昔からあるAIです。表データの異常検知では、ほとんど使われていませんでした。
それぞれが付けた「あやしい順」の順位を足すだけ。それだけで、どちらか片方より上手に見つけられました。
数字は見つける上手さ(AUROC)。1.0 が満点、0.5 があてずっぽう。銀行の営業データ 45,211 件で、20回くり返した平均です。
「描き直しの目」に、いろいろな相棒を組ませてみました。右にのびたら 良くなった 、左にのびたら 悪くなった 。
良くなったのは ボルツマンマシンと組んだときだけ 。ほかの7つの方法は、組むとむしろ悪くなりました。
ネットワーク攻撃のデータ 74,826 件でも同じ向きの結果でした(もともと 0.993 と高い成績が、さらに +0.002)。「DBMの描き直し」の +0.004 は、銀行データでは誤差の範囲です。
同じところを見て、同じところを見落とす。足しても増えない。
片方が見落としたものを、もう片方が拾う。
「うまく描き直せるか」と「地形のどこにいるか」は、別の見方です。だから組ませると補い合えます。古いAIにも、まだ出番があります。