クーポンや通知は、お客さんへの「介入」。知りたいのは売上の予測ではなく、 「送らなかったら、この人はどうしていたか」 との差だ。
DBM が消費者の「いまの状態」を信念ベクトルにまとめ、凍結する。その上に仕事ごとの小さなアダプタを付け足す。
この行動の履歴はありえるか?を自由エネルギーで採点
来店・購入の確率をアダプタで予測
信念を固定し、今日の施策だけを切り替えて差をとる
時間は再帰結合ではなく、 過去 4 日分の窓 を可視層に並べるだけで扱う。今日の施策だけは脳を通さず、アダプタに直接渡す。だから信念は「施策とは無関係な、その人の状態」になり、施策を入れ替えても同じ信念を使い回せる。
実データでは、個人ごとの本当の効果は誰にもわからない。そこで、1 人ひとりに 隠れた 3 つの性質 を持たせた消費者 1,024 人の 1 年間をシミュレーションした。DBM はこの性質を一度も見ない。
わざと性質どうしを 絡ませて(交絡させて) ある。たとえば値下げの効果を見ようとしても、「価格に鈍感な人」と「もともと好きな人」が同じ層に重なっていて見分けにくい。
生の特徴量を直接 MLP に入れたモデルと、凍結した信念にアダプタを載せたモデルは、来店・購入のどちらの予測でもほぼ同じ精度。DBM による表現し直しで、予測に必要な情報は失われていない。
信念を固定したまま、今日の施策のスイッチだけを入れた場合と切った場合で予測し、その差をその人への効果とする。
推定した効果の順位が、本当の性質(通知なら販促への反応、値下げなら価格感度)の順位とどれだけ一致するかを、定番の因果推論手法と比べた。
絡みが強いほど差が開く 交絡のない「通知→来店」では僅差。価格感度と好みが絡む「値下げ→購入」では、多くの手法が大きく崩れる中で、アダプタは性質の順位をよく保った。
正直なただし書き 値下げの効果は「好み」とも逆向きに強く相関した。価格感度と好みは作り方の上で逆向きに絡んでいるため、どちらの情報に頼っているかはこの実験だけでは完全には区別できない。
最近買っていなかった人の履歴を、 「ここ 4 日毎日買っている。でもキャンペーンも通知も受けていない」 に書き換える(クランプ)。すると自由エネルギーが上がった。DBM はこの軌跡を「不自然」と判断している。
面白いのは、 もともと好きな人ほど上り幅が小さい こと。「販促なしでも買う」のは、好きな人ならそれほど不思議ではない。DBM は「好み」を一度も見ていないのに、年齢・所得などからそれを読み取っていた。
同じ信念が、二つの場所で効いている 反実仮想(③)で性質を分けられた信念が、エネルギー(①)でも性質に沿った形をしている。
ただし 1 人ずつのばらつきは大きく、エネルギーの変化だけで個人のタイプを判別できるわけではない。集団としての傾向。
脳は凍結したまま。新しい仕事はアダプタを足すだけなので、前の仕事を忘れない。重い世界モデルと軽い制御器という Ha & Schmidhuber の非対称性をそのまま受け継ぐ。
アップリフトやメタ学習器は効果を推定するだけで、「その反実仮想はそもそもありえるか」は判断できない。エネルギーがそれを採点する。
パラメータは環境の安定した構造、時間変化は信念の側に置く。再帰結合なしで軌跡を扱える。
その人の「いま」を
一つの信念
にまとめれば、
予測も、ありえなさも、
もしも
も、同じ場所から答えられる。